県内・家屋損壊60棟に
2005/03/22(火)第01面掲載

 福岡県西方沖地震から一夜明けた21日、県内の被害状況も明らかになった。けが人は前日より2人増え12人、住家の一部損壊は33棟増え、半壊を含む住家被害は計60棟、壁にひびが入ったり、ガラス破損の学校は小、中、高校合わせて五十九校に上った。電気、ガス、水道などのライフラインはほぼ復旧、交通機関も通常運行に戻り、生活は平静を取り戻した。
 
 県消防防災課には、新たに唐津市呼子町殿ノ浦、鎮西町名護屋の岸壁のひびなどが報告された。地震が原因とみられる地下ケーブルの一部損傷で、唐津市和多田地区の約300戸の電話が不通(同日午後11時現在)となっており、復旧作業を続けている。

 電気、ガス、水道は完全に同日午後5時までに完全復旧。交通関係もJR九州の各線も通常運行に戻った。

 気象庁は24日までにマグニチュード5.5以上の余震が発生する確率は10%としている。(樋渡)

大雨警報など発令基準下げ
2005/03/22(火)第01面掲載


 佐賀地方気象台は21日、福岡県西方沖地震で地盤が緩んで土砂災害の恐れが高まっているため、県内の大雨注意報と警報の発令基準を現行の七割に引き下げた。
 
 対象は県内全域(震度5弱未満だったと想定する鹿島地区を除く)。注意報・警報は1、3、24時間の雨量が基準値を超えると発令しており、注意報基準の1時間30ミリを20ミリにするなど、それぞれの数値を引き下げた。
 
 引き下げは当面の間で、雨量と土砂災害の関連を調べながら、変更や元に戻すことを検討する。福岡県福岡地区は五割に引き下げた。

 


県内激震・その時、私たちは…
2005/03/22(火)第22面掲載


 震度6弱という県内観測史上最大の規模となった福岡西方沖地震。予想もしない、経験もない地震に、県内の防災関係機関や病院、社会福祉施設などはどう対応したのか、関係者に「その時」を聞いた。連絡手段を携帯電話に依存する社会の弱点、情報入手と伝達の見直しの必要性など、今後への教訓もみえる。


■鳥栖消防署長 有馬彰利さん(55)

 日曜日で平日よりも20人ほど少ない16人体制だったが、非番の職員が巡回するなどマニュアル通りに対応できた。幸い震度の割に被害が小さく、119番の入電も1件だけだった。天気が良く外出世帯が多かったなどの理由が考えられる。管内には鳥栖スタジアムがあり、毎試合、消防車を一台配置しているが、もし試合日に起こっていたらどうなっていたか、考えさせられる。


■県立病院事務長 池田利彦さん(58)

 休みの医師や看護師らも自主的に出てきてくれ、患者への影響はなかった。ただ、連絡先が携帯電話だけの医師もいて、地震と関係ない緊急手術で連絡が取りにくかった。緊急態勢を敷くにも電話が通じなければどうしようもない。また、エレベーター3基が停止し、復帰まで4時間かかった。幸い、閉じこめられた人はいなかったが、業者が来ないと対応できず、対策が必要だ。


■佐賀ガス専務 内海文典さん(55)

 震度5強以上で集まるというマニュアルがあり、30分後には社員約20人が駆けつけた。家庭メーターの安全装置作動の問い合わせは約200件、すべて社員が訪問できた。引っ越し時期で人手があり、ガス漏れなど大きな被害がなかったので対応できたが、頻繁な訓練の必要性を感じた。電話がつながらなかった社員もいた。メール活用を検討したい。


■小川島漁協組合長 川口安教さん(45)

 小川島漁協は玄界灘(県域)の漁業無線基地となっていて、津波情報はここから約500隻に一斉に伝える。ただ、私たちも警報や注意報はテレビ、ラジオで入手するしかない。今回、7人の組合員は漁などで全員、島を離れていて、結果的に第一波の到着予定とされた時刻までに対応はできなかった。近くで地震が発生した時の緊急連絡態勢などは見直さないといけない。


■寿楽園第一施設サービス部長 山内均さん(33)

 老人ホームの管理をしているが、けが人もなく大きな混乱はなかった。(1)負傷者と不在者の確認(2)全員を集める(3)エレベーター、火の使用の中止と、月1回の防災訓練どおりの対応ができた。施設内だけでなく、在宅サービスの人への連絡、避難に備えるための周辺状況把握もでき、阪神大震災や中越地震に職員を派遣したりして課題を学んでいたことが生きた。


■江北小教頭 香月須賀さん(58)

 自宅で揺れを感じたが、すぐに子どもたちのことが頭をよぎった。年に1回は地震を想定した避難訓練を実施しているが、本当にこういう規模の地震が起こるとは思っていなかった。甘く考えていたところもあると思う。今までも訓練は相応の規模を想定して真剣にやっていたが、これまで以上に職員へ危機意識を持つよう指導していかなければと思っている。


■ジャスコ佐賀大和店後方統括マネージャー 中越功さん(48)

 普段よりお客さまが多い日曜日だったが、売り場に混乱はなく、誘導など特別措置はしなかった。一部の商品が棚から落ちたほか、2階売り場で1カ所、ガラス製防煙板が割れて落下したため、ほかに危険がないか店内をチェックした。新潟でもグループ店が地震被害に遭っており、安全確保の情報は常に各店で共有している。再度、マニュアルを徹底したい。


震度おかしい」問い合わせ続々
2005/03/22(火)第22面掲載

 九州北部を襲った福岡県西方沖地震から一夜明けた21日、鹿島市や伊万里市など一部地区の震度が発表されなかったため佐賀新聞社や各市役所などに問い合わせが相次いだ。気象庁未検定の震度計があったことや、データ送信トラブルなどが原因とみられ、県消防防災課と気象庁は今後のデータ公表について協議を始めた。

  今回、震度計を設置しながらデータが発表されなかったのは伊万里市と鹿島市、唐津市厳木、相知、浜玉、鎮西町、佐賀郡富士町、みやき町三根の八カ所。

 県消防防災課によると現在、県内には気象庁管轄四カ所、地方自治体管轄41カ所、文部科学省管轄6カ所の計51の震度計がある。従来は気象庁の4個だけだったが、阪神大震災を機に全市町村の庁舎敷地内に整備された。

 ただ、佐賀地方気象台は、文科省管轄の震度計について「気象庁の検定を受けていない機器で公表の対象外」としており、県が把握した「伊万里4」「鹿島3」「厳木4」「鎮西5弱」「富士4」のデータは公表されなかった。

 また、自治体管轄の震度計は気象庁にデータを自動送信することになっているが、浜玉と相知、三根のデータは受信できなかったという。

 このほか、白石町福富は「最大の揺れを示した時間帯のデータが送信されなかった」ため、震度2と発表。住民から「同じ町内でも白石が震度5弱、有明が4なのに、なぜ福富が2なのか」との問い合わせもあった。(梶原、小野)

携帯通話10回に1回
2005/03/22(火)第22面掲載

 福岡県西方沖地震では電話会社各社が通信規制を行い、安否を確認する電話がつながりにくい状況が続いた。県内では最も厳しい時間帯で、固定電話が2回に1回、携帯電話は10回に1回程度しかつながらなかった。連絡手段として規制解除が早く、規制の度合いも低かった固定電話や、災害用伝言ダイヤルの活用も一考だ。
 
 固定、携帯電話の各社とも警察・消防などへの緊急通報回線確保のため、通話殺到地域で通信を規制する。交換機ごとに自動設定のケースが多く、同一地域でも交換機のエリアや電話の集中度などで規制の内容や解除時間などが変わる。

 今回は固定、携帯とも地震直後から規制が始まり、NTT西日本(固定)は県内最長で20日午後1時17分まで、福岡は同午後3時半まで、NTTドコモ(携帯)は佐賀、福岡とも同日午後10時58分まで規制した。規制内容も、固定が最大で50%だったのに対し、ドコモの携帯は最大で10回に1回程度しかかからない87.5%まで規制した。

 固定、携帯電話がつながらない状態が続く中で、NTTの「災害伝言ダイヤル」(有料)の利用(全国集計)は20日午前11時半からの24時間で録音約2万7,700件、再生約5万400件に上った。

 「171」を回して案内に従って伝言を録音するシステムで、固定電話の番号が必要。連絡を取りたい人の番号を知っている人は録音内容を聞き、新たに伝言を録音できる。携帯電話各社もインターネット接続サービスを使った災害伝言サービスを持っており、各社ともシステム利用を呼び掛けている。(小野)



地震雲?〜佐賀市内で小学生が撮影
塚本さんが14日夕、佐賀市内で撮影した「地震雲のような雲」
2005/03/22(火)第22面掲載 

 県内でも震度6弱を記録した地震の6日前の14日夕、佐賀市上空で「地震雲のような雲」を小学生が撮影していた。
 
 「地震雲」は科学的な根拠はないが、震源付近の岩盤から発生する地磁気などの影響を指摘する研究者もいる。新潟県中越地震の直前にも各地で観察され、話題になった。

 撮影したのは佐賀市巨勢町の塚本有紗さん(11)。中越地震の「地震雲」をテレビで見ていたため、似たような雲を見つけ、とっさにカメラ付き携帯電話のシャッターを押した。家族や友人らと「地震があるかも」と話していた矢先の地震に、驚きを隠せない様子だった。

 塚本さんのほか、伊万里市の三浦廣海さん(52)と妻の政子さん(52)は10日午後4時ごろ、佐賀市の50歳の男性は地震前日の19日午後6時ごろ、それぞれ「地震雲といわれる帯状の長い雲を見た」との情報を本社に寄せた。(中島克)