玄界島勤務の副島医師、避難所に泊まり診療
2005/03/26(土)第27面掲載
避難所で島民と一緒に生活しながら診療を続けている副島修さん=福岡市の九電記念体育館

 福岡県西方沖地震で被災した玄界島の診療所に勤務する佐賀市出身の医師が、避難先の九電記念体育館(福岡市中央区)で島民と寝泊まりしながら、診療を続けている。副島修さん(33)=佐賀医大卒。避難生活の長期化で健康面の不安が懸念される中、「島民のホームドクターとしてできる限りのことをしたい」と、島民と向き合う。


■地域医療への思い

 「先生、急に血圧が高うなって」「大丈夫。いつものお薬に1つ加えましょう」―全島避難後、よく眠れずに上の血圧が180を超えたという70代の女性は「先生が一緒だから安心。ありがたい」と話し、穏やかな表情で毛布にくるまった。
 副島さんは2年前、玄界診療所を運営する済生会福岡総合病院の職員として妻(30)と移り住んだ。それまでは一週間交代で別々の医師が来ていたが、地域医療への思いから常駐診療を決意した。島の生活にも溶け込み、親しくなった島民は魚やウニなど差し入れしてくれるようになった。

■カルテ700人分詰め

 20日の地震発生は長崎市の妻の実家で知り、大急ぎで島へ戻った。診療所は医療機器を入れた棚が倒れ、カルテが散乱。その日のうちに全島避難が決まったが、「避難先で島民が困らないように」とカルテを整理し、島民約700人分を段ボール箱に詰め、遅れて避難所に合流した。
 
 自身も被災者だが、何より心配なのは島民の健康だ。「突然の地震。ふだん飲んでいる薬を持たず、体1つで避難してきた人が多い。高齢者には高血圧や糖尿病など慢性疾患が多く、薬が変わるだけでも身体に負担がかかる」。22日に仮設診療所を開設した後、1日約40人を診ている。

 「考えていたよりみなさん元気だが、すし詰め状態の生活でインフルエンザなど心配」とも。福岡市民病院が看護師を派遣、夜間と土日は医師が応援してくれている。

 妻と1歳3カ月の愛娘は実家に避難中。「会いたいけど、いまは我慢」。時々届く家族の写真付きメールを心の支えに「1日も早い復興を」と願っている。(杉原)

有田焼業界被害4000万円
2005/03/26(土)第27面掲載
他の商品が落下して破損した高級深鉢=西松浦郡有田町の有田焼卸団地

 福岡県西方沖地震による有田焼業界の被害が約4,000万円に上ったことが有田商工会議所の調べで分かった。陳列棚から商品が落ちて割れるなどの被害が多く、業界は地震対策に苦慮している。
 
 業界3組合を通じて被害状況を調査。組合員計約270社のうち4分の1にあたる約60社が素焼きや在庫品が破損したことを報告した。

 業界内で地震保険に加入していた業者はほとんどなく「不況の影響もあり、めったにない地震への対策は全く頭になかった」と組合関係者。高級深鉢(直径約40センチ)が他の商品の落下で割れた有田焼卸団地内の商社社長(76)は「不安定な場所に不安定な商品を置いていた。もっと注意していれば」。別の組合関係者は「ゴム類を商品の下に置くなどして、倒れにくくする工夫が必要」と話していた。

 山内町商工会管内では窯業九社で食器などが割れ、計500万円の被害。唐津焼協同組合の総合展示場アルピノでは小皿など約30点が割れ、加盟する19窯元の素焼きに被害が出た。32窯元が集まる伊万里市の大川内山では工場内の素焼きが破損した。(吉丸)


昇開橋昇降不能に
2005/03/26(土)第27面掲載

 佐賀郡諸富町と福岡県大川市を結ぶ筑後川昇開橋の橋げたが、福岡県西方沖地震の影響で昇降不能になっていることが分かった。橋を管理する筑後川昇開橋観光財団(理事長・江上均大川市長)は付近への立ち入りを禁じて復旧を急いでいる。
 
橋げたは下に降りた状態で船の運航に支障が出る状態だったため、非常用装置で橋げたを上に引き上げた。修理には20日程度かかる見込みで、復旧は4月10日前後になる。

 同財団によると、一帯で震度5弱を観測した20日の地震発生後、橋げた部分を点検したところ、橋を上下させる滑車のロープがレールから脱輪しているのが見つかった。橋本体への損傷はなかった。