鳥栖商V、10年ぶり甲子園へ
「夏の佐賀商」はあと一歩

第85回全国高校野球選手権記念県大会は26日、佐賀郡久保田町のみどりの森県営球場で決勝を行い、鳥栖商が6−2で佐賀商を下し、10年ぶり2度目の優勝を飾った。

鳥栖商は序盤に2点のリードを許し、四回まで無安打。五、六回で同点に追いつき、七回に打者一巡の猛攻で4点を勝ち越した。鳥栖商の左腕重野倫基投手は丁寧な投球で要所を締めた。

全国大会は8月7日から兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕。4日に組み合わせ抽選が行われる。

「鳥栖商−佐賀商」優勝を決め抱き合って喜ぶ鳥栖商ナイン=みどりの森県営球場 (2003/07/26)


鳥栖商6回表2死三塁、4番中島正が左超え適時二塁打を放ち、2-2の同点に追いつく=みどりの森県営球場

最終日(7月26日)


決勝 みどりの森県営球場
 
鳥栖商
佐賀商
(鳥栖商)重野―富岡
(佐賀商)松本・本山・碇・武井―深川
 ▽三塁打 飯田(佐)
 ▽二塁打 松本(佐)中島正(鳥)
鳥栖商の地力を感じる試合だった。四回まで佐賀商・松本に無安打の鳥栖商は五回一死から左前打の永家をバントで送り、池上が中前にはじき返した。この1点で、重苦しいムードが変わった。六回、中島正が左越えの適時二塁打を放ち、振りだしに戻した。
 続く七回には二死一,三塁から甲斐が勝ち越しの右前打。相手守備の乱れもあり、2点を勝ち越した。荒木が佐賀商の動揺を突くバント安打で続き、重野は右前打、中島正も左前打で畳みかけた。

 左腕重野は8安打を浴びたが、四回以降を無失点に抑えた。四回裏二死三塁で、中島正が佐賀商・吉田の左飛を好捕したのも大きかった。

 佐賀商は二回裏、右中間三塁打の飯田が暴投で生還し、1点を先取。三回にも、バント安打で二盗の松枝が2つの犠打で返るなど試合巧者ぶりを発揮した。だが四回以降は打線がつながらなかった。先発松本は、力のある直球で四回をパーフェクトに抑えたが、セットポジションで球威が落ち、継投でも目先を変えることはできなかった。

主将池上、反撃ののろし

「チャンスをつくってくれた。何とかしたかった」。鳥栖商の主将池上のバットが反撃ののろしをあげた。2点を追う五回二死二塁、「初球から狙っていた」というカーブをしぶとく中前に運んだ。ナインの緊張を解き、流れを呼び込む大きな1点になった。

 同点に追いついた六回のの守備から、暑さで意識が薄らぎかけた。堀江監督はベンチで「交代するか」。だが、「いけるところまでグラウンドにいたい」。ゲームセットの瞬間、真っ先にマウンド付近で歓喜の輪をつくった。

 初出場となった今春の九州大会は無安打コールド負け。「いい経験になった。みんな粘り強くなった」。今大会も準決勝、決勝の接戦を勝ち抜いた。春以降、ナインの合言葉は「雪辱の場所は夏の甲子園」。その夢舞台に全員で乗り込む。
鳥栖商5回表2死二塁、7番池上の中前適時打で1点差に追い上げる
逆転で選手に自信
鳥栖商・堀江幸弘監督
試合前から全員に硬さがあったが、重野の粘り強い投球に打線が奮起してくれた。ワンチャンスで逆転できたことは自信につながる。甲子園では全員野球で思い切りプレーしてほしい。
-----------------------------------------------------------------------