「思い切っていくだけ」。三回二死一塁、鳥栖商・荒木は自らを奮い立たせて打席に立った。初球の直球を思いっ切りたたいた。「右に打とうと思っていた」打球は右中間を深々と破り、先制打になった。
初回の第1打席は、雨でぬかるむグラウンドの状況を見て「試合前から決めていた」と、2度セーフティーバントを試みた。惜しくもファウルとなった後、6球目を右前に転がした。甲子園3試合目、9打席目の初ヒット。「うれしかった」と気持ちが乗った。
先発は右腕城本。「肩を壊して一番つらい思いをしていた。早く楽にしてやりたかった」という。先制したもののすぐに逆転を許し、城本も四回途中でマウンドを下りたが、「最後に同じグラウンドに立ててよかった」。
八回には遊撃内野安打を放ち、この日は3打数3安打。「自分たちらしく、はつらつとプレーができた。やればできる、ということを示せたと思う」。そう大舞台を振り返りながら、泣き崩れる後輩たちにも「また、ここに来いよ」と、しっかりと言い残した。
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